![]() 薬物タンパク質および/または遺伝物質などの積荷の送達のための組成物
专利摘要:
積荷分子を、それを必要とする患者または対象に送達するための組成物および方法を提供する。当該組成物は、RLIP76タンパク質を組み入れかつ積荷分子を含んだプロテオリポソーム担体ビヒクルを含む。このビヒクルは、中枢神経系へなど、体組織全体へ積荷分子を効率よく送達する。 公开号:JP2011511807A 申请号:JP2010546094 申请日:2009-02-09 公开日:2011-04-14 发明作者:シー.;ケーシー カニンガム 申请人:テラピオ コーポレイション; IPC主号:A61K9-127
专利说明:
[0001] 関連出願の相互参照 本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2008年2月7日付で出願された、米国仮特許出願第61/026,964号の恩典を主張する。] 背景技術 [0002] 発明の背景 リポソームは遺伝物質の送達に関して一般的に実証済みである(Simoes, et al., Expert Opin. Drug Deliv. 2:237-254, 2005(非特許文献1)に概説されている)。しかしながら、それらは血清成分による結合(Pedroso de Lima, et al., Curr. Med. Chem. 10:1221-1231, 2003(非特許文献2))、血管内皮細胞における選択的吸収(Dass and Choong, J. Control Release 113:155-163, 2006(非特許文献3))、および不十分な全身送達を含むいくつかの欠点に悩まされている。標的化部分により、肺(Kawakami, et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 19:171-190, 2002(非特許文献4))および肝臓(Kawakami, et al., Pharm. Res. 17:306-313, 2000(非特許文献5))への特異的な送達が可能とされている。] [0003] リポソームを用いた生物学的に活性なタンパク質の送達は、多くが実験室での実践にとどまっており(Sells, et al., Biotechniques 19:72-76, 78, 1995(非特許文献6))、ビロソームなどの他の方法がいくらか優位性を示した(Bungener, et al., Biosci. Rep. 22:323-338, 2002(非特許文献7))。それゆえ、これは、新しい方法および組成物が明らかに必要とされる領域にあたる。] [0004] さらに、脳を含む多くの組織は全身的リポソーム送達系によって接近するのが難しいと考えられるので、直接的注入法が代わりに利用されねばならなかった(Huynh, et al., J. Control Release 110:236-259, 2006(非特許文献8))。局所注入は、到達することのできる組織の量を限定してしまうので、中枢神経系への全身送達に対する明確なニーズが存在している。] 先行技術 [0005] Simoes, et al., Expert Opin. Drug Deliv. 2:237-254, 2005 Pedroso de Lima, et al., Curr. Med. Chem. 10:1221-1231, 2003 Dass and Choong, J. Control Release 113:155-163, 2006 Kawakami, et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 19:171-190, 2002 Kawakami, et al., Pharm. Res. 17:306-313, 2000 Sells, et al., Biotechniques 19:72-76, 78, 1995 Bungener, et al., Biosci. Rep. 22:323-338, 2002 Huynh, et al., J. Control Release 110:236-259, 2006] [0006] 本開示は、送達される積荷(cargo)の機能性を保持しながら体内で積荷分子を送達するRLIP76プロテオリポソームの並外れた能力を実証する。RLIP76プロテオリポソームは全身に、ならびに中枢神経系、肺、肝臓、心臓および腎臓組織を含むが、これらに限定されない、特定組織に、その積荷を送達することができる。RLIP76プロテオリポソームによって送達されうる積荷分子は、核酸分子、RNA分子、DNA分子、低分子干渉RNA (siRNA)分子、アンチセンス分子、ポリヌクレオチド分子、オリゴヌクレオチド分子;タンパク質分子、および他の低分子を含む。RLIP76プロテオリポソームは1種類または複数種の積荷分子を含有することができる。いくつかの態様において、1種類または複数種の積荷分子を有するRLIPプロテオリポソームは、積荷分子のインビボ送達のために経口投与される。他の態様において、1種類または複数種の積荷分子を有するRLIPプロテオリポソームは、薬学的に許容される担体中で送達される。] [0007] 本開示の1つの局面は、RNA干渉組成物(「RNAi組成物」)に関する。これらの組成物は、RNAi分子、例えば低分子干渉RNA (「siRNA」)を含むRLIP76プロテオリポソームを含む。RLIP76プロテオリポソームは、インビトロでのまたはインビボでの、細胞への機能的RNAi分子の移入を容易にする。いくつかの態様において、本開示のRNAi組成物は細胞において選択した標的遺伝子、mRNAまたはタンパク質の発現を阻害する目的で投与される。] [0008] 本開示は、RLIP76タンパク質と少なくとも第1の積荷分子とを含むプロテオリポソームに細胞を接触させる段階を含む、細胞に積荷分子を送達する方法を提供する。いくつかの態様において、細胞は脳細胞、心臓細胞、肝細胞、腎細胞、肺細胞、または眼細胞である。特定の態様において、細胞はニューロン、例えばドーパミン作動性ニューロン、GABA作動性ニューロン、セロトニン作動性ニューロンもしくはグルタミン酸作動性ニューロン、またはグリア細胞、例えば星状膠細胞もしくは乏突起膠細胞である。他の態様において、細胞は腫瘍細胞である。さらなる態様において、細胞はヒト細胞である。さらなる態様において、細胞は内皮細胞、例えば血管内皮細胞、または脳内血管内皮細胞である。] [0009] 本開示は、RLIP76タンパク質と積荷分子とを含むプロテオリポソームを含んだ組成物であって、プロテオリポソームが薬学的に許容される担体中にある、組成物も提供する。いくつかの態様において、薬学的に許容される担体は経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、吸入投与、経粘膜投与、経皮投与、呼吸器投与、経肺投与、または経鼻投与用に調製される。] [0010] さらに、本開示は、薬学的に許容される担体の中にプロテオリポソームを含む薬学組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、積荷分子をそれを必要とする対象に送達する方法を提供し、ここで、プロテオリポソームはRLIP76タンパク質と積荷分子とを含む。] [0011] いくつかの局面において、積荷分子は核酸分子またはポリペプチド分子である。特定の局面において、積荷分子はDNA分子、RNA分子、アンチセンスRNA分子、RNA阻害分子、低分子もしくは短分子阻害RNA分子、リボザイム分子、三重分子、アプタマー(aptomer)分子、短分子ヘアピンRNA分子、マイクロRNA分子、小型非コードRNA分子、または低分子調節RNA分子である。他の局面において、積荷分子は、組織特異的プロモーターまたは細胞特異的転写応答エレメントに機能的に連結されている核酸分子である。] [0012] いくつかの態様において、プロテオリポソームは、RLIP76と多数の積荷分子とを含む。他の態様において、プロテオリポソームは、少なくとも第1の治療剤をさらに含む。さらなる態様において、プロテオリポソームは、標的化部分、例えば細胞特異的または組織特異的な標的化部分をさらに含む。特定の態様において、標的化部分は抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、一本鎖抗体、タンパク質もしくはタンパク質断片、ホルモン、または化学的部分である。] [0013] さらなる局面において、RLIP76タンパク質はヒトRLIP76タンパク質である。他の局面において、RLIP76タンパク質は、単独でまたは組み合わせでRLIP76輸送活性を保持するヒトRLIP76タンパク質の1つまたは複数の断片である。特定の局面において、RLIP76タンパク質は、ヒトN-RLIP761-367およびヒトC-RLIP76410-655ポリペプチド断片の組み合わせである。他の局面において、RLIP76タンパク質は、RLIP76輸送活性を保持する変異RLIP76タンパク質である。] [0014] いくつかの態様において、積荷分子は対象の脳、心臓、肝臓、腎臓、筋肉または肺に送達される。特定の態様において、積荷分子はニューロンまたは脳内血管内皮細胞に送達され、その一方、他の態様において、積荷分子はニューロンおよび脳内血管内皮細胞に送達される。さらなる態様において、積荷分子は対象内の腫瘍に送達され、他の態様において、積荷分子は対象の中枢神経系内の腫瘍に送達される。] [0015] 本明細書において開示されるRLIP76プロテオリポソーム組成物の代表的な態様は、積荷分子としてSET-1に対するアンチセンスオリゴマーを含む。この積荷分子は、脳、肝臓、肺、心臓および腎臓を含む、試験したいくつかの組織へRLIP76プロテオリポソームにより全身送達され、いくつかの試験組織においてSET-1mRNAの減少およびSET-1タンパク質発現の減少によって示されるように送達後に機能的であり続けた。驚いたことに、RLIP76プロテオリポソームは、RLIP76を含有していないリポソームよりもかなり効率的にアンチセンスオリゴマーを送達した。] [0016] 本開示を通じて、文脈上そうでない場合を除き、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変化形は、明言されていない他の要素も含まれうるような「含むが、限定されることはない(includes, but is not limited to)」を意味するものと理解される。さらに、文脈上そうでない場合を除き、「1つの(a)」という用語の使用は単数の対象または要素を意味してよく、あるいはそれは多数の、または1つもしくは複数のそのような対象または要素を意味してもよい。さらに、「または」の使用は、特に記載のない限り、「および/または」を意味する。また、「要素」または「成分」のような用語は、特に記載のない限り、1つの単位を含む要素および成分も、2つ以上の単位を含む要素または成分もともに包含する。] [0017] 上記の一般的な説明も下記の詳細な説明もともに、例示および説明するだけのものであって、特許請求されている、本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。本明細書で用いられている節の見出しは、単に構成上の目的のためであり、記載されている主題を限定するものと解釈されるべきではない。特許、特許出願、論文、書物および専門書を含むが、これらに限定されない、本出願において引用されている、全ての書類、または書類の一部は、いかなる目的に対してもその全体が参照により本明細書に明示的に組み入れられる。1つまたは複数の組み入れられている文献および同様の資料が、ある用語を、本出願におけるその用語の定義と矛盾するように定義している場合には、本出願を優先する。] 図面の簡単な説明 [0018] 以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明のいくつかの局面をさらに実証するために含まれる。本明細書において示される具体的な態様の詳細な説明と併せてこれらの図面の1つまたは複数を参照することで、本発明をよりよく理解することができる。] [0019] 図1A:RIP1 (RLIP76のマウス版)の挿入部位周囲のプライマーを用いたPCRの結果。レーンM;分子量スタンダード、レーン1;ホモ接合性RLIP76マウスのPCR、レーン2;ヘテロ接合性RLIP76マウスのPCR、レーン3;野生型マウスのPCR。図1B: 抗RLIP76抗体を用いたマウス肝臓および心臓組織のウエスタンブロット分析。レーン1; 分子量スタンダード、レーン2;陰性対照、レーン3および6;野生型RIP1マウス、レーン4および7; ヘテロ接合性RIP1マウス、レーン5および8; ホモ接合性RIP1マウス。 図2Aおよび2Bは、RLIP76リポソームを用いたタンパク質分布を示す。図2A: RLIP76タンパク質200 μgを含有するRLIP76リポソームで腹腔内(i.p.)処置し、48時間後に殺処理したホモ接合性RIP1ノックアウトマウス。Cと表示したレーンはRLIP76不含の対照リポソームで処置したマウスに由来し、Rと表示したレーンはRLIP76-リポソームで処置したマウスに由来する。図2B: 0時間、72時間および120時間の時点でRLIP76-リポソーム200 μgの3回用量で処置し、その後、168時間の時点で殺処理を行ったホモ接合性RIP1ノックアウトマウス。Cと表示したレーンはRLIP76不含の対照リポソームで処置したマウスに由来し、Rと表示したレーンはRLIP76-リポソームで処置したマウスに由来する。 マウスに空のリポソーム(図3A)、R508核酸(RLIP76に対するアンチセンス)を含有するリポソーム(図3B)、およびR508核酸をRLIP76リポソームと組み合わせて含有するリポソーム(図3C)を与えた対照実験からのデータである。肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1mRNAの発現を摂取から24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)後にRT-PCR分析によって検出している。 マウスを対照リポソームDN5核酸(SET-1に対するアンチセンス)(図4A)およびRLIP76リポソーム中のDN5核酸(SET-1に対するアンチセンス)(図4B)で処置した試験からのデータである。肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1 mRNAの発現を摂取から24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)後にRT-PCR分析によって検出している。 マウスを対照リポソーム中のDN5 (SET-1に対するアンチセンス)(レーン1〜5)およびRLIP76リポソーム中のDN5 (SET-1に対するアンチセンス)(レーン6〜10)で処置した試験からのデータである。肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1 mRNAの発現を摂取から24時間後にRT-PCR分析によって検出している。 対照(空)のリポソーム、R508核酸を含有するリポソーム、R508核酸を含有するRLIP76リポソーム、DN5核酸を含有するリポソーム、およびDN5核酸を含有するRLIP76リポソームによる処置から24時間および72時間後の肺におけるSET-1 mRNAの発現に関するデータの概要のグラフである。 対照(空)のリポソーム、R508核酸を含有するリポソーム、R508核酸を含有するRLIP76リポソーム、DN5核酸を含有するリポソーム、およびDN5核酸を含有するRLIP76リポソームによる処置から24時間および72時間後の肝臓におけるSET-1 mRNAの発現に関するデータの概要のグラフである。 対照(空)のリポソーム、R508核酸を含有するリポソーム、R508核酸を含有するRLIP76リポソーム、DN5核酸を含有するリポソーム、およびDN5核酸を含有するRLIP76リポソームによる処置から24時間および72時間後の脳におけるSET-1 mRNAの発現に関するデータの概要のグラフである。 DN5核酸200 μgを含有するリポソーム、およびDN5核酸200 μgを含有するRLIP76リポソームの経口投与から24時間後の肺、肝臓、心臓、脳および腎臓におけるSET-1mRNA発現を示すデータの概要のグラフである。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの脳(図10A、図10Bおよび図10C)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの脳(図10A、図10Bおよび図10C)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの脳(図10A、図10Bおよび図10C)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの肺(図10D、図10Eおよび図10F)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの肺(図10D、図10Eおよび図10F)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。 scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群1)、scrambledアンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群2)、DN5アンチセンス核酸100 μgを含有する対照リポソーム(群3)、またはDN5アンチセンス核酸100 μgを含有するRLIP76リポソーム200 μg (群4)による処置後のマウスの肺(図10D、図10Eおよび図10F)の組織におけるSET-1の発現を検出するためのウエスタンブロットである。ウエスタンブロットにおけるバンドを走査デンシトメトリーによって定量化し、β-アクチンを内部対照として用いた。] [0020] 詳細な説明 本開示は、少なくとも一つには、RLIP76タンパク質を含有するプロテオリポソームが「積荷分子」を身体の各種組織に送達するのに驚くほど有効であるという発見に起因している。本明細書において用いられる場合、「RLIP76プロテオリポソーム」とは、RLIP76とリポソームとの組み合わせを意味するだけでなく、RLIP76とマイクロエマルジョン、ミセル、単層小胞もしくは多層小胞、赤血球ゴーストまたはスフェロプラストなどとの組み合わせもいう。RLIP76プロテオリポソームは核酸積荷分子の送達に加えて、同じくポリペプチドおよび低分子積荷分子(例えば、治療剤)の送達にも有効であるものと考えられることも理解されよう。本明細書において開示されるRLIP76プロテオリポソームは、2種またはそれ以上の核酸積荷分子; 2種またはそれ以上のポリペプチド積荷分子; 2種またはそれ以上の低分子積荷分子; 核酸積荷分子およびポリペプチド積荷分子; 核酸積荷分子および低分子積荷分子、低分子積荷分子およびポリペプチド積荷分子、ならびに核酸積荷分子、ポリペプチド積荷分子および低分子積荷分子の組み合わせを送達するために用いることができる。] [0021] 予備的動物実験から経口的にまたは腹腔内に投与されたときの送達ビヒクルの効力が明らかであるが、吸入、静脈内、筋肉内、経粘膜または経皮の送達を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の他のやり方によって送達を達成することもできることが理解されよう。本明細書におけるデータは、開示される送達ビヒクルが脳組織、肺組織、肝組織、心臓組織、および腎組織への送達に有効であることを実証し、本明細書に示した試験において調べられていない他の組織に対しても送達が有効であることが予想される。送達ビヒクルが経口投与または腹腔内投与後に脳組織内での発現のために血液/脳関門の向こう側に積荷を送達できることは特に意義深い。] [0022] RLIP76 RLIP76 (RALBP1またはRIP1としても公知)は、細胞生理において複数の役割を果たす、ショウジョウバエ(Drosophila)からヒトにまで存在する遍在性のタンパク質である。膜結合時には、このタンパク質は、一般的な抗がん薬であるビンカアルカロイドおよびアントラサイクリン(anthracyline)などの両親媒性低分子を含む種々の化合物に対する多特異的排出ポンプとして機能する。しかしながら、RLIP76輸送は、活性酸素種(ROS)から形成される内因性グルタチオン求電子結合体(glutathione electrophile conjugate; GS-E)の細胞からの移動も伴う。ROSは、放射線およびたくさんの有機化学物質などの種々の傷害の原因によって産生され、多様なレベルで細胞に有毒である。その名が示すように、ROSは極めて反応性であり、タンパク質、脂質および核酸を含む、その行く手にあるほぼ何にでも結合し、これらの各々を、その接触と同時に改変してしまう。脂質が受ける損傷(脂質過酸化反応)は、生じる過酸化生成物がそれ自体で有毒なため、特に有害である。これらの中には4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)などのアポトーシス促進性の反応アルケナールがあり、これらは長寿命であり、細胞内に蓄積して、最終的にはさらなる損傷および細胞死を導きうる。このように、RLIP76は、培養細胞におけるストレス応答の重要な構成要素であり、熱、化学酸化剤、化学療法剤、UV線照射およびX線照射を含むストレス因子からの防御をもたらす。] [0023] RLIP76の一次構造からいくつかの興味深い特徴が明らかである。このタンパク質は4つの領域に分けることができ、そのうちの2つの中央ドメインはRac1/CDC42 GAP活性およびRal結合ドメインを保有する。2つの隣接ドメインの機能は依然として不明である。ヒトRLIP76のヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号NM_006788)およびマウスRLIP76のヌクレオチド配列(NM_009067)、ならびにヒトRLIP76のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_006779)およびマウスRLIP76のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_033093)が報告されている。ヒトRLIP76のアミノ酸配列は、N-グリコシル化(アミノ酸番号341-344)、cAMP(アミノ酸番号113-116)、cGMP依存性のタンパク質キナーゼリン酸化(アミノ酸番号650-653)、チロシンキナーゼリン酸化(アミノ酸番号308-315)、N-ミリストイル化(myristolation) (アミノ酸番号21-26、40-45および191-196)、ロイシンジッパーパターン(アミノ酸番号547-578)およびいくつかのタンパク質キナーゼCリン酸化、カゼインキナーゼIIリン酸化のための部位、トリプシンおよびキモトリプシン切断部位を含む。RLIP76の一次構造におけるそのようなモチーフの存在、およびその容易なタンパク質分解は、RLIP76がいくつかの細胞内および細胞外過程(例えば、タンパク質プロセッシング、細胞内シグナル伝達、タンパク質分解、認識、タグ付けなど)に関与していることを示しており、RLIP76のタンパク質分解プロセッシングが複数の機能に必要であることを示している。RLIP76のペプチド断片は個別にまたは他の断片と共同してこれらのさまざまな機能を触媒することができる。例えば、RLIP76のN末端およびC末端断片、つまりATP依存性の輸送を個別に媒介できない断片は、プロテオリポソーム内で一緒に再構成されると、電荷を帯びた薬物(例えば、DOX、コルヒチン)の輸送を触媒することができる。] [0024] 培養細胞中でまたは大腸菌(E. coli)中で発現されたRLIP76は、精製中に容易にタンパク質分解を起こす。RLIP76のN末端およびC末端からそれぞれ生じる2つの最も顕著なペプチドN-RLIP761-367およびC-RLIP76410-655は、SDSゲル内に49 kDaおよび38 kDaのバンドとして現れる。これらのペプチドのどちらも、RLIP76により輸送される陰イオン性または陽イオン性リガンドの存在下において刺激されうる構成的ATPase活性を示す。どちらのペプチドも、ATP結合部位における反応中間体の捕捉を示唆する、バナジウム酸塩の存在下において増加した光親和性標識から明らかなように、ATPを結合する。これら2つの断片のどちらも、プロテオリポソーム内で単独で再構成されると、輸送を触媒しない。しかしながら、一緒に再構成されると、荷電した化学物質(例えば、DNP-SG、DOX)のATP依存性の輸送が、RLIP76のものと似た反応速度パラメータで観察される。N-RLIP761-367およびC-RLIP76410-655におけるATP結合部位は、それぞれ、アミノ酸番号69-74およびアミノ酸番号418-425であることが特定された。それぞれ、N末端およびC末端ペプチドにおけるK74およびK425の変異は、ATPase活性、ATP結合能および輸送機能を抑止する。これらのATP結合部位の配列は、P-ループ(Walkerモチーフ)のコンセンサス配列と同一ではない。] [0025] 上記のヒトRLIP76核酸配列に加え、いくつかの単一ヌクレオチド多型(SNPs)がヒトRLIP76遺伝子内で報告されており、これらのうちの3つ(コード配列のヌクレオチド番号660位のAからGへの変異、コード配列のヌクレオチド番号838位のGからAへの変異、およびコード配列のヌクレオチド番号2065位のCからTへの変異)は、RLIP76コード配列のなかに含まれており、それぞれ、アミノ酸位置149のリジンからグルタミン酸への、アミノ酸位置208のアルギニンからグルタミン酸への、およびアミノ酸位置617のアラニンからバリンへのアミノ酸配列の変化を引き起こす。ヒトRLIP76遺伝子のイントロンに生じるSNPs、ならびにヒトRLIP76遺伝子の5'および3'非翻訳領域に生じるSNPsが米国国立生物工学情報センターのウェブサイトの単一ヌクレオチド多型(SNP)データベースの中に記載されている。] [0026] 本開示のいくつかの局面において、「RLIP76」または「RLIP76タンパク質」とは、GenBankアクセッション番号NP_006779に示される完全長のヒトRLIP76アミノ酸配列、単独でもしくは組み合わせでRLIP76輸送活性を保持したヒトRLIP76アミノ酸配列の1つもしくは複数の断片、またはRLIP76輸送活性を保持したヒトRLIP76アミノ酸配列の変異を意味することができる。いくつかの態様において、RLIP76は、GenBankアクセッション番号NP_006779に示されるヒトRLIP76アミノ酸配列と約99%の同一性もしくは相同性、GenBankアクセッション番号NP_006779に示されるヒトRLIP76アミノ酸配列に対して約98%の同一性もしくは相同性、約95%の同一性もしくは相同性、約90%の同一性もしくは相同性、約85%の同一性もしくは相同性、または約80%の同一性もしくは相同性を有するアミノ酸配列を意味することができる。] [0027] リポソーム リポソームは1つまたは複数の同心性二重層の形に配置された両親媒性脂質からなる小胞である。脂質が水性媒体中に入れられる際に、脂質頭部基と水との親水性相互作用が生体膜に似た多層状および単層状の系または小胞の形成を球殻の形で引き起こす。リポソームは小型(0.025〜0.05 μm)から大型(0.05〜10 μm)の多層小胞であることができる。リポソームを調製するために用いられる脂質はリン脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、飽和グリセリド、ステロイド(例えば、コレステロール)および合成リン脂質を含むが、これらに限定されることはない。リポソームは、通例、水性溶媒中でポリオキシエチレン(POE)などの乳化剤と一緒に脂質を溶かすことによって調製される。次いで薬物を加え、混合または超音波処理によってリポソームを生成させる。薬物は、通常、小胞構造中に取り込まれる。これらの基本的なリポソームは「従来のリポソーム」といわれることもある。(1)ポリエチレングリコールなどの、不活性な親水性重合体で表面コーティングされている立体的に安定化されたリポソーム; (2) 抗体もしくはその断片、レクチン、オリゴ糖またはペプチド(例えば、リポソームを胃腸上皮に標的化するためにコレラ毒素B (CTB)が用いられる)などの、標的化リガンドが付着されている標的リポソーム; ならびに(3) 特定の相互作用に応じて相および構造を変える、反応性または「多型性」リポソーム(この群には、いくつかある刺激の中で特にイオン(pH、陽イオン)、熱および光、他の刺激の間に感受性のあるリポソームが含まれる)を含むが、これらに限定されない、いくつかの他の種のリポソーム調製物が存在する。] [0028] いくつかの態様において、本組成物はプロテオリポソームを含む。本明細書において用いられる場合、「プロテオリポソーム」は、一般に、球状のミセル様または小胞構造を形成するタンパク質とレクチンまたは糖脂質もしくはリン脂質との組み合わせである。その構造は自発的にまたは化学的もしくは機械的操作、またはその組み合わせにより生じることができる。プロテオリポソームは、溶液状態では、(a)尾部が内向きの球状ミセル; または(b)疎水性尾部が親水性頭部基の間に挟まれた二重層である二分子のシートを含むいくつかの形状のうちの少なくとも1つを生ずる二層を形成させる脂質(またはレクチン)の両親媒性を活用する。一般に、プロテオリポソームは、裂かれまたは破られても、自らを再び密封することができる。プロテオリポソームは、レクチンもしくは脂質を1つだけ含有してもよく、または各々の寄せ集めおよび組み合わせを含有してもよい。リン脂質の例としては、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、イノシトールリン脂質、およびホスファチジルエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されることはない。使用時に、プロテオリポソームは、荷電していてもまたは電気的に中性でもよく、生理的pHで一般に用いられる。それらは界面活性剤と混ざり合った構造(例えば、界面活性剤/脂質/タンパク質、界面活性剤/レクチン/タンパク質)であってもよい。規定の脂質-タンパク質またはレクチン-タンパク質の比率およびサイズのプロテオリポソームを調製するための方法は、分子生物学およびタンパク質/脂質生化学の分野における当業者に周知である。] [0029] 本開示のプロテオリポソームは、米国特許出願公開第2005/0123594 A1号に開示され記載されている方法を含むが、これに限定されない、当技術分野において公知の任意の方法によって作出することができ、この開示は全ての目的で参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。] [0030] 核酸組成物 本開示のいくつかの態様において、RLIP76リポソームまたはプロテオリポソームは、RNA、DNA、アンチセンス、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、リボザイム、および/または三重分子を含むが、これらに限定されない、核酸分子を送達するために用いられる。そのような核酸分子は、RNA干渉(RNAi)に基づく機構によって標的核酸の発現を低減するRNA分子を包含することもできる。RNAiに適したいくつかの例示的なRNA分子は、短分子干渉RNA (siRNA)分子、短分子ヘアピンRNA (shRNA)分子、マイクロRNA分子、小型非コードRNA (tncRNA)分子、および低分子調節RNA (smRNA)分子を含むが、これらに限定されることはない(例えば、Novina and Sharp, Nature 430:161-164, 2004を参照のこと)。] [0031] 「RNA」または「RNA分子」または「リボ核酸分子」という用語は、リボヌクレオチドの重合体を意味する。「DNA」または「DNA分子」または「デオキシリボ核酸分子」という用語は、デオキシリボヌクレオチドの重合体を意味する。DNAおよびRNAは天然に合成され(例えば、それぞれ、DNA複製またはDNAの転写により)または当業者に周知の方法を用いて化学的に合成されることができる。RNAは転写後に修飾されることができる。DNAおよびRNAは1本鎖であっても(すなわち、それぞれssRNAおよびssDNA)、または多重鎖(例えば、2本鎖、すなわち、それぞれdsRNAおよびdsDNA)であってもよい。「mRNA」または「伝令RNA」という用語は、1つまたは複数のポリペプチド鎖のアミノ酸配列を特定する1本鎖RNAであり、これは、リボソームがmRNAに結合すると、タンパク質合成中に翻訳される。「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体の短い重合体を意味する。] [0032] 本明細書において用いられる場合、「低分子干渉RNA」または「siRNA」または「短分子干渉RNA」という用語は、RNA干渉を指令または媒介できる約10〜50ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)を含むRNA (またはRNA類似体)を意味する。いくつかの態様において、siRNAは、約15〜30ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体、約16〜25ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)、約18〜23ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)および約19〜22ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体) (例えば、19、20、21、または22ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体)を含む。siRNAには、短いsiRNAがRNAiを媒介する能力を保持しているとすると、場合によっては、19未満のヌクレオチド、例えば、15、16、17または18ヌクレオチドが含まれてよい。同様に、長分子siRNAが短分子siRNAに対して、例えば、RNAi不在のさらなるプロセッシング、例えば、酵素的プロセッシングを媒介する能力を保持しているとすると、場合によっては、siRNAには26超のヌクレオチドが含まれてもよい。] [0033] 本明細書において用いられる場合、「RNA干渉」または「RNAi」という用語は、選択的な細胞内分解をいい、例えば、標的遺伝子の発現を調節または沈黙化することを意味する。RNAiは、アンチセンス分子がmRNA標的配列と同一であることを要するのではなく、むしろアンチセンス分子が、RNAi機構または過程によって標的mRNAの破壊を誘発するのに標的mRNA配列と十分に相補的な配列を有することを要する(例えば、米国特許第7,459,547号を参照されたく、これはその全体が本明細書に組み入れられる)。本明細書において用いられる場合、「発現を低減する」および「発現を沈黙化する」という用語は、発現の完全な(100%)低減および沈黙化を含めその割合までの、発現の任意の低減または沈黙化を意味する。いくつかの局面において、発現は、分子の低減、干渉または沈黙化がない場合の発現と比べて5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれ以上だけ低減または沈黙化されうる。] [0034] 本開示のいくつかの局面において、核酸分子は、5-フルオロウラシル、5-クロロウラシル、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、ジヒドロウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、N6-アデニン、2-チオウラシル、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、5-メチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、4-チオウラシル、プソイドウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、イノシン、1-メチルイノシン、5-メトキシウラシル、N6-イソペンテニルアデニン、2-メチルアデニン、キュェオシン、2-メチルグアニン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、β-D-ガラクトシルキュェオシン、1-メチルグアニン、β-D-マンノシルキュェオシン、7-メチルグアニン、2,2-ジメチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、4-アセチルシトシン、2-チオシトシン、ワイブトキソシン、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含むが、これらに限定されない群より選択される少なくとも一つの修飾塩基部分を含む。] [0035] 本開示のいくつかの態様において、核酸分子は、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含むが、これらに限定されない群より選択される少なくとも一つの修飾糖部分を含む。他の態様において、核酸分子は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタールまたはその類似体を含むが、これらに限定されない群より選択される少なくとも一つの修飾リン酸骨格を含む。他の態様において、核酸分子は、α-アノマーオリゴヌクレオチドである。α-アノマーオリゴヌクレオチドは相補RNAと、通常のβ-ユニットとは反対に、各鎖が相互に並走する特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gautier, et al., Nucl. AcidsRes. 15:6625-6641, 1987)。オリゴヌクレオチドは2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoue, et al., Nucl. Acids Res. 15:6131-6148, 1987)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue, et al., FEBSLett. 215:327-330, 1987)であってもよい。] [0036] アンチセンスDNA分子またはsiRNA分子などの、アンチセンス核酸分子の活性は、往々にして標的mRNAの二次構造の影響を受ける(例えば、Vickers, et al, J. Biol. Chem. 278:7108-7118, 2003を参照のこと)。したがって、塩基対合に利用可能な標的mRNAの領域に相補的なアンチセンス核酸を選択することができる。標的mRNAの適当な領域は、「遺伝子歩行(gene walk)」を行うことにより、例えば、いくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、標的mRNAに沿ってさまざまな領域とハイブリダイズする、および/または標的mRNA発現を低減するその能力について実験的に調べることにより特定することができる(例えば、Vickers, et al, 前記、およびHill, et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 21:728-737, 1999を参照のこと)。あるいは、標的mRNAの他のどの領域ともハイブリダイズしない標的mRNAの領域を特定するためにmRNA二次構造予測プログラムまたは関連アルゴリズムを用いて、標的mRNAの適当な領域を特定することもできる(例えば、Hill, et al., 前記を参照のこと)。標的mRNAの適当な領域を特定するために、上記の方法の組み合わせを用いることもできる。] [0037] 本開示は、RNAi組成物、該RNAi組成物を作出する方法、およびRNAi組成物を用いるための方法(例えば研究および/または治療の方法)を特徴とするいくつかの態様に関する。RNAi組成物は、siRNA分子、siRNA分子にプロセッシングされる前駆体分子(例えば、遺伝子操作された前駆体分子)、または、例えば、前駆体分子(例えば、遺伝子操作された前駆体分子)をコードする分子(例えば、DNA分子)を含む、RLIP76プロテオリポソームであることができる。] [0038] 標的および疾患/障害 本発明により開示される組成物および方法は、特定の細胞、組織または患者におけるいくつかの特異的な核酸標的を標的化するために、ならびにいくつかの異なる疾患、障害および状態を処置するために用いることができる。] [0039] 本開示のいくつかの態様において、RNAi組成物は、1つのヌクレオチド配列(またはいくつかの場合において2つ以上のヌクレオチド配列)を標的化して神経疾患または神経障害を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含み、ここで活性な作用物質が血液脳関門を横断することが特に望ましい。「神経疾患」および「神経障害」とは、神経系機能不全によって特徴付けられ、かつ罹患した中枢または末梢神経系構造の萎縮、または萎縮を伴わない機能喪失と関連付けることができる、遺伝性状態も散発性状態もともにいう。萎縮を引き起こす神経疾患または神経障害は、一般に「神経変性疾患」または「神経変性障害」と呼ばれる。神経疾患の配列標的は、βアミロイド前駆体タンパク質遺伝子(APP)の変異対立遺伝子、タウタンパク質の変異対立遺伝子、アポリポタンパク質Eε4対立遺伝子、ならびにβ-セクレターゼなどの、セクレターゼおよびプレセニリン遺伝子の変異対立遺伝子などのアルツハイマー病の標的; T-bet転写因子、インターロイキン23、およびオステオポンチンなどの多発性硬化症の標的; α-シヌクレインなどのパーキンソン病の標的; ならびにNotch-1、カテプシン(cathespin) B、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、およびマトリックスメタロプロテイナーゼなどの中枢神経系腫瘍の標的を含むが、これらに限定されることはない。本発明により開示される組成物および方法を用いて処置または予防できるさらなる神経疾患および神経障害は、遺伝性痙性片麻痺、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、反復拡張神経変性疾患、例えば、ポリグルタミン(ポリQ)リピート病などのトリヌクレオチドリピートの拡張に関連する疾患、例えば、ハンチントン病(HD)、脊髄小脳失調(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、およびSCA17)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、および歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性および特発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれ、FALSおよびALS)、家族性および特発性パーキンソン病、ハンチントン病、家族性および特発性アルツハイマー病、多発性硬化症、オリーブ橋小脳萎縮症、多系統萎縮症、進行性核上麻痺、びまん性レビー小体病、大脳皮質基底核変性症、進行性家族性ミオクローヌス癲癇、線条体黒質変性症(strionigral degeneration)、捻転ジストニア、家族性振戦、ダウン症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病、糖尿病性末梢神経障害、拳闘家認知症、AIDS認知症、加齢による認知症、加齢に伴う記憶障害、および感染性海綿状脳症(クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、スクレピー、およびクールー)と関連するプリオンタンパク質(PrP)によって引き起こされるもの、過剰なシスタチンC蓄積によって引き起こされるもの(遺伝性シスタチンC血管症)などのアミロイドーシス関連の神経変性疾患、外傷性脳損傷(例えば手術関連の脳損傷)、脳浮腫、末梢神経損傷、脊髄損傷、リー病、ギラン・バレー症候群、リポフスチン症などのリソソーム蓄積疾患、アルパー病、CNS変性の結果としての目まい; 例えば、青斑核および小脳におけるニューロンの変性を含め慢性的なアルコールまたは薬物の乱用から起こる病態;認知障害および運動障害に至る小脳ニューロンおよび皮質ニューロンの変性を含め加齢から起こる病態; ならびに運動障害に至る大脳基底核ニューロンの変性を含め慢性的なアンフェタミン乱用から起こる病態;局所的外傷、例えば脳卒中、局所的虚血、血管不全、低酸素性虚血性脳症、高血糖、低血糖または直接的外傷から生じる病態変化;治療薬および処置の副作用として起こる病態(例えば、グルタミン酸受容体のNMDAクラスのアンタゴニストの抗けいれん用量に応じた帯状皮質ニューロンおよび内嗅皮質ニューロンの変性)ならびにウェルニッケ・コルサコフ関連の認知症、フリードライヒ運動失調症、糖尿病、末梢神経障害および網膜神経変性症を含むが、これらに限定されない、感覚ニューロンに影響を及ぼす神経変性疾患、脳アミロイドーシス、ピック萎縮症およびレット症候群を含むが、これらに限定されない、辺縁系および皮質系の神経変性疾患を含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、処置されるCNSの状態または障害は、脳腫瘍または他の新生物(例えば、膠芽細胞腫などのCNS腫瘍)である。そのような腫瘍または新生物は、原発腫瘍であってよく、または転移がんであってよい。] [0040] 本開示の態様において、RNAi組成物は、インフルエンザウイルス、RSウイルス(RSV)、百日咳ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、SARS-CoVウイルス、ラッサ熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、デング熱ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ロスリバーウイルス、アウラウイルス、ボルナ病ウイルス、ハンターンウイルス、および当業者に周知の他のウイルスから生じるウイルス感染症を含むが、これらに限定されない、特定のウイルス感染症を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。RNAiは、siRNAによって遺伝子沈黙化を達成する最近になって発見され開発された抗ウイルス戦略であり、siRNAは本開示の組成物および方法によってそれを必要とする細胞または対象に送達することができる。例えば、siRNAを用いた抗ウイルス戦略は、インフルエンザウイルスに対して阻害性であるもの(例えば、米国特許第7,304,042号ならびに米国特許出願公開第20040242518号および同第20070213293号を参照のこと); RSVに対して阻害性であるもの(例えば、米国特許出願公開第20070238676号を参照のこと);ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはレンチウイルスに対して阻害性であるもの(例えば、米国特許第7,195,916号を参照のこと);肝炎ウイルスに対して阻害性であるもの(例えば、米国特許出願公開第20080269148号を参照のこと); およびSARSウイルスに対して阻害性であるもの(例えば、米国特許出願公開第20050095618号を参照のこと)が開発されており、これらの各々が参照により本明細書に組み入れられる。このリストは単なる例示にすぎず、開発されたかつ当業者によく知られたsiRNAを用いる抗ウイルス戦略を網羅するものではない。] [0041] 本開示の他の態様において、RNAi組成物は、1つの核酸配列(またはいくつかの局面において2つ以上の核酸配列)を標的化して、例えば血管形成の調節に関わる調節性のタンパク質および核酸分子の発現を標的化することにより、血管形成を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。本明細書において用いられる「血管形成」という用語は、新たな血管の不適切な形成を意味する。血管形成は、内皮細胞の伸長および増殖を引き起こす内皮に対して分裂促進的である増殖因子の群を内皮細胞が分泌する場合に腫瘍内で生じることが多く、これによって新たな血管の発生が起こる。血管形成の阻害は動物モデルにおいて腫瘍退縮を引き起こすことがあり、治療的抗がん剤としての用途を示唆するものである。血管形成を阻害するための有効量は、腫瘍内に増殖する血管の数を減らすのに十分な量である。この量は腫瘍および血管形成の動物モデルにおいて評価することができ、その多くが当技術分野において公知である。例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子ならびにVEGF受容体遺伝子Flt-1およびFlk-1/KDR、TNFα細胞表面受容体TNF受容体-1 (TNFR1)の沈黙化で腫瘍壊死因子α(TNFα)に対して特異的なsiRNAを利用することができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,345,027号および米国特許出願公開第20090036396号を参照のこと)。糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症および多種のがんなどの、VEGFの過剰発現により刺激される血管形成を伴った疾患は、本開示の組成物および方法を用いてsiRNAを投与することにより処置することができる。さらなる腫瘍原性の配列標的は、PTEN、p53、p65、PI-3キナーゼ、タンパク質キナーゼc-α、タンパク質キナーゼN3、ICAM-1、H-ras、V-ras、N-ras、K-ras、raf、C-erbB2、Bcl-2、VEGF、Flt-3、およびc-mycを含むが、これらに限定されることはない。本開示の組成物および方法はまた、がん細胞増殖を阻害し、腫瘍サイズを低減し、侵襲性を阻止し、がん進行を阻害し、転移を阻害しうる。したがって、本開示の組成物および方法は、対象において腫瘍細胞の増殖または転移を処置するのに有用である。がんは悪性のまたは非悪性のがんであってよい。そのようながんまたは腫瘍は、胆道がん; 脳のがん;乳がん;子宮頸がん;絨毛がん;結腸がん;子宮内膜がん;食道がん;線維肉腫、胃がん;肝がん、上皮内新生物;リンパ腫;肝臓がん;肺がん(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔がん;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;直腸がん;肉腫;皮膚がん;精巣がん;甲状腺がん; および腎臓がん、膠芽細胞腫、ならびに他のがん腫および肉腫を含むが、これらに限定されることはない。血管形成の調節に関わる他の代表的な標的の例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,419,779号に開示されている。このリストは単なる例示にすぎず、開発されたかつ当業者によく知られたsiRNAを用いて血管形成を調節する戦略を網羅するものではない。] [0042] 本開示のいくつかの局面において、RNAi組成物は、1つのヌクレオチド配列(またはいくつかの場合において2つ以上のヌクレオチド配列)を標的化して肺疾患、すなわち、肺機能に影響を及ぼす疾患または障害を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。肺疾患の配列標的は、肺高血圧症の処置のための内皮由来FGF2、および嚢胞性線維症の処置のためのVCP/pr97を含むが、これらに限定されることはない。処置または予防できる肺疾患の他の例としては、嚢胞性線維症、ぜんそく性気管支炎、結核、気管支炎、気管支拡張症、喉頭気管気管支炎、細気管支炎、肺気腫、気管支肺炎、アレルギー性気管支肺炎、ウイルス性肺炎、百日咳、ジフテリア、痙性クループ、肺結核、貯留した分泌物を伴う脳炎(encephalitis with retained secretions)、肺水腫、サイトメガロウイルス肺炎または粟粒結核症、薬物誘発性肺疾患(例えば、ペニシリン、ニトロフラントインの投与後の)、リンパ管型の拡散パターンを有する新生物性肺疾患または気管支肺胞細胞がん、感染性または非感染性肉芽腫性疾患、過敏性肺炎、ヒストプラスマ症、結核、特発性線維化性肺胞炎、遺伝性肺障害、例えば肺胞微石症および気管支拡張症、好酸球性肉芽腫、リンパ脈管筋腫症(lymphangioleimyomatosis)、ならびに肺胞タンパク症が挙げられるが、これらに限定されることはない。] [0043] 本開示の他の局面において、RNAi組成物は、1つのヌクレオチド配列(またはいくつかの場合において2つ以上のヌクレオチド配列)を標的化して炎症性疾患または障害を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。処置または予防できるそのような炎症性の疾患、障害または状態の例としては、急性および慢性の炎症、例えば変形性関節症、敗血症、ARDS、免疫および自己免疫障害、関節リウマチ、IBD (炎症性腸疾患)、紅斑性狼瘡、MS、移植片拒絶、肝硬変、サルコイドーシス、肉芽腫性病変、歯周炎/歯肉炎、移植片対宿主病、接触皮膚炎、肝炎、炎症性脳疾患、炎症性脱髄疾患、炎症性血管炎、炎症性筋疾患、骨髄炎、クローン病、難治性潰瘍性大腸炎、非特異性潰瘍性大腸炎、間質性膀胱炎、心筋症、感染性疾患、肺疾患ならびに移植片拒絶が挙げられるが、これらに限定されることはない。本組成物を用いて処置できる自己免疫障害は、慢性活動性肝炎、グレーブス病、インスリン依存性糖尿病(I型)、および橋本甲状腺炎を含むが、これらに限定されることはない。] [0044] 本開示のさらなる局面において、RNAi組成物は、1つのヌクレオチド配列(またはいくつかの場合において2つ以上のヌクレオチド配列)を標的化して、ぜんそく、アレルギー性疾患、肺気腫、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、再かん流肺傷害、肺、腎臓、心臓および腸の虚血再かん流傷害、ならびに肺腫瘍増殖および転移を含むが、これらに限定されない、呼吸器疾患を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。提供される組成物および方法は、インフルエンザウイルス、RSウイルスおよびSARSウイルスを含むが、これらに限定されない、ウイルスによって引き起こされる疾患、慢性閉塞性肺病/疾患(COPD)、肺線維症、具体的にはブレオマイシン誘導性肺線維症、間質性肺疾患、線維症、拘束性肺疾患、中皮腫、肺炎、サルコイドーシスおよび嚢胞性線維症を含むが、これらに限定されない、肺疾患を処置または予防するためにも有用である。] [0045] 本開示のいくつかの他の態様において、RNAi組成物は、1つのヌクレオチド配列(またはいくつかの場合において2つ以上のヌクレオチド配列)を標的化して、皮膚障害を処置または予防するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。そのような皮膚障害は、白斑、黒色腫、異形成母斑、脂漏性角化症、黒色表皮症、付属器腫瘍、他の表皮性腫瘍(光線性角化症、扁平上皮がん、基底細胞がん、メルケル細胞がん、ヒスチオサイトーシスX、菌状息肉腫/皮膚T細胞リンパ腫)、肥満細胞症、湿疹/急性湿疹様皮膚炎、じんましん、多形性紅斑、乾癬、扁平苔癬、紅斑性狼瘡/全身性紅斑性狼瘡、キス病、尋常性座瘡、および脂肪織炎を含むが、これらに限定されることはない。] [0046] 本開示のさらなる態様において、RNAi組成物は、ヒト疾患に関係がある特異的スプライスアイソフォームを標的化および沈黙化するようにデザインされているアンチセンスRNAまたはsiRNAを含む。] [0047] 細胞特異的な標的化または発現 本開示のいくつかの局面において、RLIP76プロテオリポソーム組成物を特異的な細胞種に標的化することが望ましい。これらの「細胞特異的な」態様のいくつかにおいて、RLIP76プロテオリポソームは細胞特異的な標的化部分をさらに含む。細胞特異的な標的化部分は、RLIP76プロテオリポソームとの細胞種特異的な結合を付与し、標的化される特定の細胞集団に基づいて選択される。増殖因子、ホルモンおよびサイトカインなどの、受容体に対するリガンド、ならびに抗体またはその抗原結合断片を含むが、これらに限定されない、多種多様の組成物が細胞特異的な標的化部分として用いるのに適している。] [0048] 多数の細胞表面受容体が各種系統の造血細胞において特定されているので、これらの受容体に特異的なリガンドまたは抗体を細胞特異的な標的化部分として用いることができる。IL2R+細胞を標的化する細胞特異的な標的化部分としてIL2を用いることができる。あるいは、B7-1、B7-2およびCD40などの他の分子を用いて、活性化されたT細胞を特異的に標的化することもできる。さらに、B細胞は、CD19、CD40およびIL4受容体を発現し、CD40リガンド、IL4、IL5、IL6およびCD28などの、これらの受容体に結合する部分によって標的化されうる。T細胞およびB細胞などの免疫細胞の除去は、自己免疫、過敏症、移植拒絶反応の処置において、およびリンパ系腫瘍の処置において特に有用である。自己免疫疾患の例は多発性硬化症、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythemotisis)、強皮症およびブドウ膜炎(uviatis)である。より具体的には、ミエリン塩基性タンパク質は、多発性硬化症における免疫細胞攻撃の主な標的であることが知られているので、このタンパク質を多発性硬化症の処置のための細胞特異的な標的化部分として用いることができる(例えば、国際公開公報第97/19179号を参照のこと)。] [0049] 特異的な細胞サブセットを標的化するために使用できる他のサイトカインは、インターロイキン(IL1からIL15)、顆粒球・コロニー刺激因子、マクロファージ・コロニー刺激因子、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子、白血病抑制因子、腫瘍壊死因子、形質転換増殖因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、および/または線維芽細胞増殖因子を含む。他のサイトカインは、ヘマトポイエチン(4-ヘリックスバンドル) (Epo (エリスロポエチン)、IL-2 (T細胞増殖因子)、IL-3 (マルチコロニーCSF)、IL-4 (BCGF-1、BSF-1)、IL-5 (BCGF-2)、IL-6 IL-4 (IFNβ2、BSF-2、BCDF)、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-13 (P600)、G-CSF、IL-15 (T細胞増殖因子)、GM-CSF (顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、OSM(OM、オンコスタチンM)、およびLIF (白血病抑制因子)などの);インターフェロン(IFN-γ、IFN-α、およびIFN-βなどの); 免疫グロビンスーパーファミリー(B7.1 (CD80)、およびB7.2 (B70、CD86)などの); TNFファミリー(TNF-α(カケクチン)、TNF-β(リンホトキシン、LT、LT-α)、LT-β、CD40リガンド(CD40L)、Fasリガンド(FasL)、CD27リガンド(CD27L)、CD30リガンド(CD30L)、および4-1BBLなどの)); ならびに特定のファミリーに割り当てられないもの(TGF-β、IL-1α、IL-1β、IL-1 RA、IL-10 (サイトカイン合成阻害剤F)、IL-12 (NK細胞刺激因子)、MIF、IL-16、IL-17 (mCTLA-8)、および/またはIL-18 (IGIF、インターフェロン-γ誘導因子)などの)を含む。] [0050] さらに、ヒト絨毛性ゴナドトロピン受容体およびゴナドトロピン放出ホルモン受容体などのホルモン受容体を含むが、これらに限定されない、いくつかの細胞表面分子は、腫瘍細胞において高度に発現される。それゆえ、対応するホルモンは、がん治療において細胞特異的な標的化部分として用いることができる。] [0051] 本開示のいくつかの態様において、抗体は、関心対象のあらゆる細胞表面抗原に対しても作製されうるので、極めて多用途で有用な、細胞特異的な標的化部分である。モノクローナル抗体は、細胞表面受容体、腫瘍関連抗原、およびCD抗原などの白血球系統特異的マーカーに対して作製されている。抗体可変領域遺伝子は、当技術分野において周知の方法によりハイブリドーマ細胞から容易に単離することができる。] [0052] この数年間、いくつかのモノクローナル抗体が治療上の使用において承認されており、臨床的および商業的に大きな成功を収めてきた。モノクローナル抗体の臨床的有用性の多くは、モノクローナル抗体がその標的に結合する親和性および特異性、ならびに比較的サイズが大きいために循環血中の寿命が長いことに起因する。しかし、モノクローナル抗体は、短い半減期が有利であるような、またはそのサイズが大きくてそれらを潜在的な治療活性の領域に物理的に到達させないような適応症で用いるにはあまり適していない。] [0053] 一本鎖抗体(SCA)は、モノクローナル抗体によって可能な治療的および診断的用途を拡げるようにデザインされた遺伝子操作タンパク質である。SCAはモノクローナル抗体の結合特異性および親和性を有し、その天然の形状では、モノクローナル抗体のサイズの約5分の1から6分の1であり、通例、それらに非常に短い半減期をもたらす。ヒトSCAは、ほとんどのモノクローナル抗体に比べて、体内での標的部位への特異的な局在化、身体からの迅速な排除、および経口的に、鼻腔内に、経皮的にまたは吸入により用いられる良好な機会を含む多くの利益をもたらす。これらの利益に加えて、完全ヒトSCAは、高価で時間のかかる「ヒト化」手順の必要なしにヒトSCAライブラリから直接単離することができる。] [0054] 重鎖および軽鎖(VHおよびVL)からの可変領域はいずれも約110アミノ酸長である。それらは、2つのドメインによる機能的抗原結合ポケットの組み立てを可能にさせるのに十分な柔軟性を有する、15アミノ酸のリンカーによって連結されることができる。具体的な態様において、種々のシグナル配列を付加して、scFvが細胞内の異なる細胞小器官に標的化されたり、または分泌されたりすることが可能である。軽鎖定常領域(Ck)を付加すると、ジスルフィド結合を介して二量体化が可能になり、安定性および結合活性が増す。このように、一本鎖Fv (scFv)SCAの場合、Fv断片の2つのドメインは別個の遺伝子によってコードされるものの、単一のタンパク質鎖scFvとして組み換え法により作出されることを可能にする合成リンカーの作出が可能なことが証明されている。さらに、それらは、ファージ・ディスプレイ・ライブラリからの単離が容易なこと、および保存された抗原を認識するその能力によって頻繁に用いられる。例えば、scFvは、抗CEAscFvを提示するレトロベクターにより、がん胎児性抗原(CEA)を発現している腫瘍細胞に自殺遺伝子を標的化するように利用される。] [0055] 最後に、肥満細胞および好塩基球を標的化するためのIgE抗体のFc部分の使用など、Fc受容体を発現する細胞を標的化するために抗体の重鎖のFc部分が用いられてもよい。抗体介在性の治療法または免疫介在性の治療法によって関心対象のポリペプチドまたはペプチドを標的化するために抗体を用いることが最近認可されており、現在の治療市場において用いられている。] [0056] 本開示の他の局面において、核酸積荷分子は組織特異的なプロモーターに機能的に連結され、これによって核酸積荷分子の組織特異的な発現が起こり(例えば、米国特許出願公開第20080131940号を参照のこと)、または細胞特異的な転写応答エレメントに機能的に連結され、これによって特異的な細胞種での核酸積荷分子の発現が起こる(例えば、米国特許第6,991,935号を参照のこと)。] [0057] 薬学的組成物および投与経路 予防的または治療的調製物は患者または対象への局所投与用の薬学的調製物として提供される。本明細書において用いられる「患者」または「対象」という用語は、ヒトまたは動物(特定の組成物の臨床的有効性に関するモデルとして特に有用である動物)の対象を意味する。適当な薬学的調製物の選択は、選ばれる投与の方法に依り、医薬品化学者に周知のプロトコルにしたがって行うことができる。] [0058] 本明細書において用いられる場合、「投与量単位」は、薬学的に許容される担体中に1種類または複数種の積荷分子を含むRLIP76プロテオリポソームである。「薬学的に許容される担体」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質用のそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野において周知である。任意の慣用の媒体または作用物質がRLIP76プロテオリポソームまたは積荷分子と不適合でない限り、治療的組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分または治療剤をRLIP76プロテオリポソーム組成物に組み入れることもできる。] [0059] 本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される塩」は、開示される化合物の1種類または複数種の成分がその酸塩または塩基塩の作出によって修飾されている本開示の化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されることはない。したがって、「酸付加塩」という用語は、酸の付加によって調製された、成分の対応する塩誘導体を意味する。薬学的に許容される塩は、例えば、無機酸または有機酸から形成された成分の従来型の塩または第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来型の塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導されるもの、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などから調製される塩を含むが、これらに限定されることはない。特定の酸性または塩基性化合物は、両性イオンとして存在することができる。遊離酸、遊離塩基および両性イオンを含む活性な作用物質の全ての形態が本開示の範囲内であるものと考えられる。] [0060] タンパク質は中性または塩の形態で組成物へと調製することができる。薬学的に許容される塩は酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)を含み、これは例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸な有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。] [0061] さらに、本開示の組成物またはその成分は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合体化されるか、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストランなど高分子化合物に組み入れられてもよい。そのような組成物は物理的状態、溶解性、安定性、インビボでの放出の速度、およびインビボでの排出の速度に影響を及ぼすはずであり、かくして、意図した用途にしたがって選択される。] [0062] 本開示の化合物は、例えば、不活性希釈剤とともにもしくは同化可能な食用担体とともに経口的に投与されてもよく、またはそれらは硬殻もしくは軟殻ゼラチンカプセル中に封入されてもよく、またはそれらは食事療法の食物に直接組み入れられてもよい。経口治療投与の場合、本開示の化合物は、賦形剤とともに組み入れられ、摂取可能な、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラートなどの形態で使用されてもよい。そのような組成物および調製物は、本開示の化合物を少なくとも0.1%含有すべきである。組成物および調製物の割合は、当然変更してもよく、好都合には、単位重量の約2%〜約60%であってもよい。そのような治療的に有用な組成物中の本開示の化合物の量は、適当な投与量が得られる量である。] [0063] 投与量単位の形態が錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどである場合、それは以下の1つまたは複数を含有してもよい:トラガカントガム、アラビヤゴム、コーンスターチもしくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤; コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;スクロース、ラクトースもしくはサッカリンなどの甘味剤; またはペパーミント、冬緑油もしくはチェリーフレーバーなどの着香剤。投与量単位形態がカプセルである場合、それは上記種類の材料に加えて、液体担体を含有してもよい。さまざまな他の材料がコーティングとして、または投与量単位の物理的形態を他の方法で改変するために存在してもよい。例えば、錠剤、丸剤またはカプセルは、シェラック、糖またはその両方でコーティングされてもよい。投与量単位の形態がシロップまたはエリキシルである場合、甘味剤としてスクロースを含有してもよく、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベンを含有してもよく、染料を含有してもよく、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどの着香料を含有してもよい。もちろん、いかなる投与量単位形態を調製する際に使用されるいかなる材料も、薬学的に純粋で、利用される量において実質的に無毒であらねばならない。さらに、投与量単位の形態は徐放性、持続放出性または遅延放出性の調製物または調製物であってもよい。] [0064] 本開示の化合物は非経口的にまたは腹腔内に投与されてもよい。投与量単位の溶液をヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合された水の中で調製することができる。分散液をグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中で、ならびに油中で調製することもできる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は微生物の増殖を阻止するよう保存剤を含有する。] [0065] 水溶液中での非経口投与の場合、例えば、溶液は必要なら適当に緩衝化されるべきであり、最初に、液体希釈剤が十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされるべきである。これらの特定の水溶液はとりわけ、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与に適している。これに関連して、利用できる無菌の水性媒体は、本開示に照らせば当業者には公知であろう。例えば、一投与量をNaCl等張溶液1 mLに溶解し、皮下注入流体1000 mLに加えるか、注入予定部位に注射するかできる(例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」15th Edition, 1035-1038頁および1570-1580頁(Osol and Hoover, eds., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1975)を参照のこと)。処置される対象の状態に応じて、いくらかの投与量の変動が必然的に起こると考えられる。いずれにしても、投与責任者が個々の対象に適した用量を判定する。] [0066] 注射用途に適した投与量単位形態は、無菌水溶液または分散液および無菌注射溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末を含む。いかなる場合でも、その形態は無菌でなければならず、適当に流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の阻止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいと考えられる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。] [0067] 無菌注射液は、本開示の化合物の必要量を適切な溶媒に、必要に応じて、上に列挙した種々の他の成分とともに組み入れた後にろ過滅菌を行うことによって調製される。一般に、分散液は、さまざまな無菌成分を、基礎となる分散媒および上に列挙したうちの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、投与量単位に加えて任意のさらなる所望の成分の粉末が、予め滅菌ろ過されたその溶液から得られる、真空乾燥法および凍結乾燥法である。] [0068] いくつかの態様において、本開示の組成物は、皮膚パッチ、または経皮送達システムの使用によって投与されるように調製されてもよい。経皮投与は、当技術分野において公知のいくつかのシステムのいずれかによって達成することができる。本明細書において記載される組成物で用いるのに適合できるシステムの例としては、米国特許第4,816,252号、同第5,122,382号、同第5,198,223号、同第5,023,084号、同第4,906,169号、同第5,145,682号、同第4,624,665号、同第4,687,481号、同第4,834,978号、および同第4,810,499号に記載されている経皮投与のシステムが挙げられるが、これらに限定されることはない。これらの方法は、典型的には、接着性マトリックスまたは薬物貯蔵システムを含み、皮膚浸透増強剤、例えばエタノール、ポリエチレングリコール200ジラウレート、ミリスチン酸イソプロピル、グリセロールトリオレエート、リノレン酸飽和エタノール、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、n-デシルアルコール、カプリン酸、いくつかの飽和および不飽和脂肪酸、ならびにそれらのエステル、アルコール、モノグリセリド、アセテート、ジエタノールアミドおよびN,N-ジメチルアミド(例えば、米国特許第4,906,169号を参照のこと)を含みうる。] [0069] 他の局面において、本開示の組成物は、呼吸器投与、経肺投与または経鼻投与用に調製することができる。] [0070] 有効用量 いくつかの局面において、本開示は、疾患または障害を処置、管理および/または予防する方法を包含し、これらの方法はそのような処置、管理、または予防を必要とする患者に、本開示の組成物またはその投与量単位の治療的または予防的有効量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、そのような化合物または投与量単位は活性な作用物質と呼ばれる。疾患または障害を処置または予防するための医薬の製造における本開示の組成物の使用も企図される。本開示は、疾患または障害の予防および/または処置に用いる医薬の調製において用いられる1種類または複数種の積荷分子の生物学的または治療的有効量を含む組成物も包含する。] [0071] 本明細書において用いられる場合、および他に指定のない限り、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、患者が疾患または障害に罹患している間に、疾患もしくは障害、または関連する疾患もしくは障害の1つまたは複数の症状または影響の重症度を低減する行動が行われることを企図する。本明細書において用いられる場合、および他に指定のない限り、「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、患者が疾患または障害に罹患し始める前に、疾患もしくは障害の発症を遅延する、および/または疾患もしくは障害の重症度を抑制するもしくは低減する行動が行われることを企図する。本明細書において用いられる場合、および他に指定のない限り、「管理する」、「管理すること」および「管理」という用語は、疾患または障害に既に罹患している患者において疾患もしくは障害の再発の程度を予防すること、遅延すること、または低減することを包含する。この用語は、疾患もしくは障害の閾値、発現および/もしくは継続期間を調節すること、または患者の疾患もしくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。] [0072] 本明細書において用いられる場合、および他に規定のない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患もしくは障害の処置もしくは管理において何らかの治療的有用性を提供するのに、または疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の症状を遅延もしくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独でまたは1つもしくは複数の他の治療法および/もしくは治療剤との組み合わせで、疾患もしくは障害、または関連する疾患もしくは障害の処置または管理において何らかの治療的有用性を提供する、化合物の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、疾患もしくは障害を治癒する、疾患もしくは障害を改善するもしくは低減する、疾患もしくは障害の症状もしくは原因を低減するもしくは回避する、治療法全体を改善する、または別の治療剤の治療的効力を増強する量を包含することができる。] [0073] 本明細書において用いられる場合、および他に規定のない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の症状の発症を予防または遅延するのに、あるいはその再発を予防または遅延するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独でまたは1つもしくは複数の他の処置および/もしくは予防剤との組み合わせで、疾患または障害の予防において予防的有用性を提供する、化合物の量を意味する。「予防的有効量」という用語は、疾患もしくは障害を予防する、予防法全体を改善する、または別の予防剤の予防的効力を増強する量を包含することができる。] [0074] 記載される化合物および組成物の毒性および治療的効力は、細胞培養物または実験動物で、例えば、LD50 (集団の50%に対する致死用量)およびED50 (集団の50%で治療的に有効な用量)を判定するための標準的な薬学的手順によって判定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これはLD50/ED50比として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。いくつかの態様において、有毒な副作用を示す化合物が使用されてもよいが、非感染細胞に対する潜在的損傷を最小限にし、それによって、副作用を小さくするために、そのような化合物を罹患組織の部位に選択的に標的化する送達系をデザインするように通常は注意を払うべきである。] [0075] 細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータを、ヒトで用いる投与量の範囲を定める際に用いることができる。本開示のいくつかの局面において、そのような化合物の投与量は、ほとんどまたは全く毒性を伴わないED50を含む血中濃度の範囲内にある。この投与量は、採用される投与量形態および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化しうる。本開示の方法において用いられるいずれかの化合物の場合、治療的に有効な用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。ある用量を動物モデルにおいて調製して、細胞培養物で判定されたIC50 (すなわち、症状の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲を達成することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をさらに正確に判定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより測定することができる。] [0076] 治療的処置が企図される場合、適切な投与量は、試験対象の体重1キログラム当たりの生物活性剤の最大耐用量すなわちMTDを判定するための動物実験を用いて判定することもできる。一般には、試験される動物種の少なくとも1種類は哺乳類である。通例、ヒトを含むその他の種に対して有効性があり、毒性が回避される用量が当業者によって推定される。有効性に関するヒトでの研究が行われる前に、第I相臨床試験は安全な用量を確立する助けとなる。さらに、例えば、生物活性剤の安定性を増強する、あるいはその薬理学的特性を増強する(例えば、インビボでの半減期を増大する、毒性を低減するなど)、種々の十分に確立された化合物または構造物と生物活性剤を複合体化させることもできる。] [0077] 本開示のいくつかの態様において、組成物または投与量単位の有効用量は、約10 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約10 mg/kg〜約0.025 mg/kg、約10 mg/kg〜約0.05 mg/kg、約10 mg/kg〜約0.1 mg/kg、約10 mg/kg〜約0.25 mg/kg、約10 mg/kg〜約0.5 mg/kg、約10 mg/kg〜約1 mg/kg、約10 mg/kg〜約2.5 mg/kg、約10 mg/kg〜約5 mg/kg、約5 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約2.5 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約1 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約0.5 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約0.25 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約0.05 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約0.025 mg/kg〜約0.01 mg/kg、約5 mg/kg〜約0.025 mg/kg、約2.5 mg/kg〜約0.05 mg/kg、約1 mg/kg〜約0.1 mg/kg、約0.5 mg/kg〜約0.25 mg/kg、または約3 mg/kg〜約0.1 mg/kgの範囲内でありうる。したがって、特定の態様において、組成物または投与量単位の有効用量は、約0.01 mg/kg、約0.025 mg/kg、約0.05 mg/kg、約0.075 mg/kg、約0.1 mg/kg、約0.25 mg/kg、約0.5 mg/kg、約0.75 mg/kg、約1 mg/kg、約2.5 mg/kg、約3 mg/kg、約5 mg/kg、約7.5 mg/kg、または約10 mg/kgである。] [0078] キット いくつかの場合、本開示の活性な成分は、同時にまたは同じ投与経路により患者に投与されないことが好ましい。本開示はそれゆえ、医療従事者が使用する際に、患者に対して適切な量の活性成分の投与を簡素化できるキットを包含する。] [0079] 典型的なキットは、本開示の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは立体異性体の1つまたは複数の単一の投与量単位形態を含む。いくつかの態様において、本開示の化合物と組み合わせて使用できる別の作用物質の単一の投与量単位形態を含む。本開示のキットは、活性成分を投与するために使用される装置をさらに含むことができる。このような装置の例としては、シリンジ、ドリップバッグ、パッチおよび吸入器が挙げられるが、これらに限定されることはない。] [0080] 本開示のキットは、1種類または複数種の本開示の組成物を投与するのに使用できる、薬学的に許容されるビヒクルをさらに含むことができる。例えば、本開示の組成物が非経口投与のために再構成しなければならない固体形態として提供される場合には、キットは、本開示の組成物を溶解して、非経口投与に適した粒子のない無菌溶液を形成できる適当なビヒクルの密封容器を備えることができる。薬学的に許容されるビヒクルの例としては、USP注射用水; 限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、ならびに乳酸加リンゲル注射液などの水性ビヒクル; 限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル; ならびに限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されることはない。しかしながら、具体的な態様において、本開示の調製物は、アルコールまたは他の共溶媒、油もしくはタンパク質を少しも含有しない。] [0081] 以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例のなかで本開示の技術は、本発明の実践において十分に機能することが本発明者によって発見された技術に相当し、したがって、その実践のための好ましい様式を構成するものと見なせることを当業者は理解するはずである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の態様において多数の変更を行うことができ、それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果を得ることができるものと理解するはずである。] [0082] 実施例1 RIP1 (RLIP76のマウス版)遺伝子の両方のコピーを保有するC57Bマウス(野生型; +/+)、RIP1遺伝子の一方のコピーを保有するC57Bマウス(ヘテロ接合性; +/-)またはRIP1遺伝子のコピーを保有していないC57Bマウス(ホモ接合性; -/-)を、遺伝子を選択的に抑制できるCre-Lox技術を用いて作出した(Lexicon Genetics, Incorporated, The Woodlands, TX)。マウス尾部DNAを単離し、ノックアウトRIP1マウスを作出するために用いた挿入部位の上流および下流のプライマーによるPCR反応での鋳型として用いるというPCRの戦略により、ヘテロ接合性RIP1マウス×ヘテロ接合性RIP1マウスの交配から得たおよそ10週齢のマウスの遺伝子型を同定した。野生型RIPマウス由来のPCR産物は200 bpのバンドとなるはずであり、ノックアウトホモ接合性RIP1マウス由来のPCR産物は150 bpのバンドとなるはずである。ヘテロ接合性RIP1マウス由来のPCR産物は両方のバンドを生じるはずである。図1Aにおいて、レーンMはDNAラダーであり、レーン1はノックアウトホモ接合性RIP1マウス由来のPCRの結果を示し、レーン2はヘテロ接合性RIP1マウス由来のPCRの結果を示し、レーン3は野生型RIP1マウス由来のPCRの結果を示す。ヘテロ接合性(+/-) RIP1マウスから、尾部組織に関するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による遺伝子型同定に基づいた動物の隔離および交配によって野生型(+/+)、ヘテロ接合性(+/-)およびホモ接合性(-/-) RIP1マウスのコロニーが樹立された(図1A)。] [0083] いくつかの組織から粗膜画分を調製し、1レーンあたりタンパク質100 μgの適用でSDS-PAGEに供した。ゲルをニトロセルロース膜に転写ブロットし、引き続き一次抗体として抗RLIP76IgGを用いてウエスタンブロッティングを行った。このブロットを発色基質として4-クロロ-1-ナフトールを用い発色させた。レーン1には、RLIP76を発現する組み換え大腸菌(pET-30a[+]-RLQLIP-BL21(DE3))由来の界面活性剤による細菌膜抽出物を含めた。レーン2はブランクとした。レーン3〜5には肝臓由来の膜抽出物を含め、レーン6〜8には心臓由来の膜抽出物を含めた。レーン3および6には野生型RIP1マウス由来のタンパク質を含め、レーン4および7にはヘテロ接合性RIP1マウス由来のタンパク質を含め、レーン5および8にはホモ接合性RIP1ノックアウトマウス由来のタンパク質を含め、β-アクチン発現を内部対照として用いた。抗RLIP76抗体を用いたマウス組織のウエスタンブロット分析から、RIP1ヘテロ接合性(+/-)マウスにおいてRIP1レベルが減少し、RIP1ホモ接合性(-/-)マウス由来の組織においてRLIP76が存在しないことが確認された(図1B)。] [0084] ホモ接合性RIP1ノックアウトマウス由来の組織のウエスタンブロット分析を、RLIP76リポソームの腹腔内(i.p.)注射後に行った。図2Aにおいて、ホモ接合性RIP1ノックアウトマウスを、RLIP76タンパク質200 μgを含有するRLIP76リポソームで腹腔内(i.p.)処置し、48時間後に殺処理した。図2Bにおいて、ホモ接合性RIP1ノックアウトマウスを0時間、72時間および120時間の時点で3回用量のRLIP76リポソーム200 μgで処置し、引き続き168時間の時点で殺処理を行った。Cと表示したレーンはRLIP76不含の対照リポソームで処置したマウスに由来し、Rと表示したレーンはRLIP76-リポソームで処置したマウスに由来する。表示した組織をホモジナイズし、タンパク質200 μgを含有する、界面活性剤で可溶化された粗膜画分のアリコットをSDS-PAGEに供し、ニトロセルロース膜に転写ブロットし、抗RLIP76を一次抗体として用いペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgGを二次抗体として用い検出した。このブロットを4-クロロ-1-ナフトールで発色させ、β-アクチン発現を負荷対照として用いた。精製RLIP76 200 μgを含有するRLIP76-リポソームの単回用量を腹腔内(i.p.)投与し、引き続き48時間後に動物を殺処理し、RLIP76が存在するか組織を免疫学的に分析することで、脳を含む、試験したホモ接合性RIP1-/-マウスの全組織にRLIP76を送達するのに、これらのリポソームを使用できることが納得のいくように示された(図2A)。8日間にわたる同一用量でのRLIP76-リポソームの3回用量の投与に続いて、10日目に殺処理を行うことで、ホモ接合性RIP1マウス組織におけるRLIP76のさらなる蓄積が示された(図2B)。] [0085] これらのウエスタンブロットの分析によって、ホモ接合性RIP1マウスから試験されたいずれの組織においても、検出可能ないずれのRIP1も存在せず、RLIP76リポソームで処置されたマウスから試験された全ての組織において完全なRLIP76に対する95 kDaの予測Mrにバンドが存在することが確認された。38 kDaのバンドは、アミノ酸番号424の位置から始まるRLIP76のC末端タンパク質分解断片に相当する。注目すべきは、脳組織でさえも相当な量のRLIP76を取り込んだことであり、脳および他の器官への薬物の送達に対して重要な薬理学的意義のある所見である。] [0086] 実施例2 経口投与時に各種組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力についてマウスモデルで試験を行った。この核酸はDN5、つまりSET-1遺伝子に対するアンチセンスオリゴマーである。調べた各種組織での発現を、投与から24時間および72時間後のサンプルにおいてRT-PCRおよびウエスタンブロットにより検出した。] [0087] 各試験において指定した作用物質100 μgを経口によりマウスに投与した。投与後24時間または72時間のいずれかで動物を殺処理し、RT-PCR法による関心対象の遺伝子に対するmRNA発現のために組織をサンプリングした。図中、各バンドの密度を画像解析ソフトウェアで定量化し、バックグラウンドおよび負荷の差異に対する補正(各レーン中のアクチンバンドに対する標準化)を行った。Y軸上の単位はゲル上の各バンドに対する画素数である。DN5はSET-1遺伝子に対するアンチセンスオリゴマーであり、R508はRLIP76に対するアンチセンスオリゴマー(対照として用いた)である。] [0088] 図3Aは、対照リポソームで処置した野生型マウスから得た、処置後24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1mRNA発現の結果を示す。SET-1フォワードプライマーはSET-1コード配列のヌクレオチド番号1422-1440を基礎とし、SET-1リバースプライマーはSET-1コード配列のヌクレオチド番号1621-1640を基礎とした。β-アクチンの発現を内部対照として用いた。β-アクチンフォワードプライマーはβ-アクチンコード配列のヌクレオチド番号748-767を基礎とし、β-アクチンリバースプライマーはβ-アクチンコード配列のヌクレオチド番号1174-1193を基礎とした。図3Bは、対照リポソーム中R508 100 μgで処置した野生型マウスから得た、処置後24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1 mRNA発現の結果を示す。図3Cは、RLIP76リポソーム100 μgとともにR508 100 μgで処置した野生型マウスから得た、処置後24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1 mRNA発現の結果を示す。これらの結果は、RLIP76アンチセンスオリゴマーがSET-1 mRNA発現に影響を与えないことを示す。] [0089] 図4Aは、対照リポソーム中DN5 100 μgで処置した野生型マウスから得た、処置後24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1mRNA発現の結果を示す。図4Bは、RLIP76リポソーム100 μgとともにDN5 100 μgで処置した野生型マウスから得た、処置後24時間(レーン1〜5)および72時間(レーン6〜10)の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1 mRNA発現の結果を示す。これらの結果は、対照リポソーム中でのSET-1アンチセンスオリゴマーの送達がSET-1 mRNA発現に劇的な影響を与えないのに対し、RLIP76リポソーム中でのSET-1アンチセンスオリゴマーの送達がSET-1 mRNA発現の顕著な減少をもたらすことを示す。] [0090] これは図5においてさらにいっそう明らかに見ることができる。図5は、対照リポソーム中DN5 200 μgで処置した野生型マウス(レーン1〜5)およびRLIP76リポソーム1 mg中DN5 200 μgで処置した野生型マウス(レーン6〜10)から得た、処置後24時間の時点で殺処理した動物のRT-PCR分析によって検出された肺(レーン1および6)、肝臓(レーン2および7)、心臓(レーン3および8)、脳(レーン4および9)、ならびに腎臓(レーン5および10)の組織におけるSET-1mRNA発現の結果を示す。SET-1アンチセンスオリゴマーが対照リポソーム中で送達された場合にはSET-1mRNAの発現が肺、肝臓および脳で明らかに見られるのに対し、SET-1アンチセンスオリゴマーがRLIP76リポソーム中で送達された場合には肺および肝臓におけるSET-1 mRNAの発現がかろうじて検出可能であり、脳におけるSET-1 mRNAの発現は大いに低下する。] [0091] 図6〜8中のグラフに示した結果は、経口送達では、どの組織でも対照リポソーム中での送達に比べてRLIPリポソーム中でのアンチセンスオリゴマーの送達後にSET-1遺伝子の発現の著しい減少を示したので、マウスの肺(図6)、肝臓(図7)および脳(図8)へのアンチセンスオリゴマーの機能的送達という点でRLIP76リポソームにはかなりの利点があることを明示している。図9は、対照リポソーム中でのDN5 200 μgまたはRLIP76リポソーム中でのDN5 200 μgの経口投薬から24時間後の野生型マウスにおけるSET-1mRNA発現レベルを示す。心臓および腎臓においてSET-1の発現はほとんど認められないが、SET-1発現は常用のリポソーム中でのDN5アンチセンスオリゴマーの送達に比べてRLIPリポソーム中でのDN5アンチセンスオリゴマーの送達後に肺、肝臓および脳の組織において大いに減少する。これらの結果は、経口送達によると、アンチセンスオリゴマーの機能的送達という点でRLIP76リポソームにはかなりの利点があることを明示している。] [0092] 実施例3 類似の試験を行ったが、今回はSET-1に対するモノクローナル抗体で免疫ブロッティングし、リポソームを腹腔内投与によって送達した。この技法によると、RLIP76を持つリポソームとRLIP76を持たないリポソームとの間の差異はより小さかったが、RLIP76プロテオリポソームはより良好な送達を示し続けた。マウス脳(図10A、図10Bおよび10C)ならびにマウス肺(図10D、図10Eおよび図10F)の粗画分200 μgをSDS-PAGEにかけ、一次抗体としてウサギ抗ヒトSET1IgGに対するウエスタンブロット分析に供した。二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgGを用いウエスタンブロットを発色させた。野生型マウス12匹を動物各3匹の4群に分けた。群番号1はscrambledアンチセンスオリゴヌクレオチド100 μgと対照リポソームで処置したマウスに相当し、群番号2はscrambledアンチセンスオリゴヌクレオチド100 μgとRLIP76リポソーム200 μgで処置したマウスに相当し、群番号3はDN5アンチセンスオリゴヌクレオチド100 μgと対照リポソームで処置したマウスに相当し、群番号4はDN5アンチセンスオリゴヌクレオチド100 μgとRLIP76リポソーム200 μgで処置したマウスに相当する。内部対照としてβ-アクチンを用い走査デンシトメトリーによってバンドを定量化した。SET-1発現の減少は対照リポソームによるDN5アンチセンスオリゴマーの送達で見られるが、RLIPリポソーム中でのDN5アンチセンスオリゴマーの投与後のSET-1発現の減少は対照リポソーム中での送達後に見られたものよりも大きい。したがって、今度の場合も、アンチセンスオリゴマーの機能的送達という点でRLIP76リポソームには利点がある。] [0093] 実施例4 腹腔内(i.p.)注射による投与時に各種組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力についてマウスモデルで試験を行う。核酸はGAPDH遺伝子に対するsiRNA分子である。組織における発現を投与後24時間および72時間のサンプルにおいてRT-PCRおよびウエスタンブロットにより検出する。] [0094] 野生型balb/cマウス3匹の3群に単回用量を投与(i.p.)する。群1の各マウスにはGAPDH遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群2の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群3の各マウスにはGAPDH遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。投与から72時間後に、マウスを殺処理し、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織を各動物から単離する。組織を二等分し; 一方はRNAlater(登録商標) (Ambion Incorporated, Austin, TX)中で保存し、液体N2中で凍結する; もう一方は破壊用緩衝液中でホモジナイズする。RNAlater(登録商標)中で保存した組織を総RNA単離(PARIS(商標)キット; Ambion Incorporated)に用い、破壊用緩衝液中でホモジナイズした組織をタンパク質単離に用いる。] [0095] 脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織をマウスから単離し、タンパク質および総RNAを組織から単離する。免疫組織化学(RLIP76)を脳および肝臓組織に関して各群のマウス1匹で行う。実時間qRT-PCRに基づく分析を行って、組織中でのGAPDH siRNAの蓄積(5組織×9動物= 45サンプル;二つ組: 計90サンプル)、および組織中でのGAPDHmRNA発現の低下(5組織×9動物 = 45サンプル; 二つ組: 計90サンプル)について判定する。] [0096] 実施例5 経口投与時に各種組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力についてマウスモデルで試験を行う。核酸はGAPDH遺伝子に対するsiRNA分子である。組織における発現を投与後24時間および72時間のサンプルにおいてRT-PCRおよびウエスタンブロットにより検出する。] [0097] 野生型balb/cマウス3匹の3群に単回用量を経口投与する。群1の各マウスにはGAPDH遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群2の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群3の各マウスにはGAPDH遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。投与から72時間後に、マウスを殺処理し、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織を各動物から単離する。組織を二等分し; 一方はRNAlater(登録商標) (Ambion Incorporated, Austin, TX)中で保存し、液体N2中で凍結する; もう一方は破壊用緩衝液中でホモジナイズする。RNAlater(登録商標)中で保存した組織を総RNA単離(PARIS(商標)キット; Ambion Incorporated)に用い、破壊用緩衝液中でホモジナイズした組織をタンパク質単離に用いる。] [0098] 脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織をマウスから単離し、タンパク質および総RNAを組織から単離する。免疫組織化学(RLIP76)を脳および肝臓組織に関して各群のマウス1匹で行う。実時間qRT-PCRに基づく分析を行って、組織中でのGAPDH siRNAの蓄積(5組織×9動物= 45サンプル;二つ組: 計90サンプル)、および組織中でのGAPDHmRNA発現の低下(5組織×9動物 = 45サンプル; 二つ組: 計90サンプル)について判定する。] [0099] 実施例6 腹腔内(i.p.)注射による投与時に腫瘍組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力についてマウスモデルで試験を行う。核酸は、腫瘍細胞有糸分裂およびゲノム安定性の維持に不可欠な、ポロ様キナーゼ1遺伝子(Plk1遺伝子)に対するsiRNA分子である。組織における発現を投与後24時間および72時間のサンプルにおいてRT-PCRおよびウエスタンブロットにより検出する。また、送達の機能的効果を処置後の標的腫瘍のサイズおよび増殖をモニタリングすることにより測定する。] [0100] LNCaP細胞はヒト前立腺がんに由来し、異種移植試験に使われることが多い。試験のため、1〜2×106個のLNCaP細胞を免疫不全NOD/SCIDマウスの右脇腹にマトリゲル(BD Biosciences, Palo Alto, CA) 100 mlと同時に接種する(マウスはNCIから得られる)。注射部位に触知可能な腫瘍の発生がないか週2回動物を調べる。腫瘍容積がおよそ150〜200 mm3に達したら、担腫瘍マウスを3群のうちの1つ(マウス3匹/群)に無作為に割り当てる。群1の各マウスにはPlk1遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群2の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群3の各マウスにはPlk1遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。投与から72時間後に、マウスを殺処理し、腫瘍、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織を各動物から単離する。組織を二等分し; 一方はRNAlater(登録商標) (Ambion Incorporated, Austin, TX)中で保存し、液体窒素中で凍結する; もう一方は破壊用緩衝液中でホモジナイズする。RNAlater(登録商標)中で保存した組織を総RNA単離(PARIS(商標)キット; Ambion Incorporated)に用い、破壊用緩衝液中でホモジナイズした組織をタンパク質単離に用いる。] [0101] 腫瘍、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織をマウスから単離し、タンパク質および総RNAを組織から単離する。免疫組織化学(RLIP76)を脳および肝臓組織に関して各群のマウス1匹で行う。実時間qRT-PCRに基づく分析を行って、組織中でのPlk1 siRNAの蓄積について判定する。] [0102] これらの試験の結果は、正常組織と比較した、腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達を実証するものであろう。] [0103] 次の試験のため、1〜2×106個のLNCaP細胞を免疫不全NOD/SCIDマウスの右脇腹にマトリゲル(BD Biosciences, Palo Alto, CA) 100 mlと同時に接種する(マウスはNCIから得られる)。注射部位に触知可能な腫瘍の発生がないか週2回動物を調べる。腫瘍容積がおよそ150〜200 mm3に達したら、担腫瘍マウスを3群のうちの1つ(マウス3匹/群)に無作為に割り当てる。群4の各マウスには、腫瘍細胞有糸分裂およびゲノム安定性の維持に不可欠な、ポロ様キナーゼ1遺伝子(Plk1遺伝子)を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群5の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群6の各マウスにはPlk1遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。腫瘍容積を毎週測定し、次式によって計算する:容積= 0.523×長直径(mm)2×短直径(mm)。データ点を平均値±SDとして報告する。] [0104] これらの試験の結果は、RLIP76プロテオリポソームを用いた腫瘍組織への対照siRNAの送達、および対照リポソームを用いた腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達と比較した、RLIP76プロテオリポソームを用いた腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達の効果を実証するものであろう。] [0105] 経口投与時に腫瘍組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力を判定するために経口投与を用いて上記の試験を繰り返す。] [0106] 上記の試験を、腹腔内(i.p.)投与でも経口投与でも、腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達を正常組織と比べて実証するために、ならびにRLIP76プロテオリポソームを用いた腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達の効果を、RLIP76プロテオリポソームを用いた腫瘍組織への対照siRNAの送達、および対照リポソームを用いた腫瘍組織へのPlk1 siRNAの送達と比べて実証するために、検査に使われることが多い非小細胞肺がん株であるA549細胞を用いて繰り返す。] [0107] 実施例7 腹腔内(i.p.)注射による投与時に脳内に位置する腫瘍組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力についてマウスモデルで試験を行う。核酸は、十分に特徴付けられたヒト神経膠芽腫細胞株であるD54-MG細胞において異常に活性であることが知られた、かつその増殖に必要な、STAT3遺伝子に対するsiRNA分子である。組織における発現を投与後24時間および72時間のサンプルにおいてRT-PCRおよびウエスタンブロットにより検出する。また、送達の機能的効果を処置後の標的腫瘍のサイズおよび増殖をモニタリングすることにより測定する。] [0108] この試験では、無胸腺マウス中で継代された皮下(s.c.)異種移植片を切除し、細分化し、2時間トリプシン処理フラスコ中で室温にて0.5%コラゲナーゼによりバラバラにする。生存細胞をFicoll密度勾配にて分離し、DPBSで2回洗浄し、1 3×107細胞/mlの濃度で2.5%メチルセルロースに再懸濁し、500マイクロリットルのHamilton気密シリンジおよび注入器(Hamilton Co., Reno, NV)を用い10 μlの容量中で33ゲージの注入カニューレによりBALBcマウスの前脳に移植されたガイドカニューレの中に注入する。組織学的検査にて、腫瘍は腫瘍接種から3日後に顕微鏡下で一貫して明らかとなり、接種から9日後に肉眼での検死により巨視的に明らかとなる。これらの巨視的な腫瘍のサイズは、容積の外挿により、直径4 cmのヒト神経膠腫に匹敵する。以下のスキーマにしたがって5匹の群でマウスを試験する。] [0109] 群1の各マウスにはSTAT3遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群2の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群3の各マウスにはSTAT3遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。投与から72時間後に、マウスを殺処理し、腫瘍、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織を各動物から単離する。組織を二等分し; 一方はRNAlater(登録商標) (Ambion Incorporated, Austin, TX)中で保存し、液体窒素中で凍結する; もう一方は破壊用緩衝液中でホモジナイズする。RNAlater(登録商標)中で保存した組織を総RNA単離(PARIS(商標)キット; Ambion Incorporated)に用い、破壊用緩衝液中でホモジナイズした組織をタンパク質単離に用いる。] [0110] 腫瘍、脳、筋肉、肺、腎臓および肝臓組織をマウスから単離し、タンパク質および総RNAを組織から単離する。免疫組織化学(RLIP76)を脳および肝臓組織に関して各群のマウス1匹で行う。実時間qRT-PCRに基づく分析を行って、組織中でのSTAT3 siRNAの蓄積について判定する。] [0111] これらの試験の結果は、正常組織と比較した、腫瘍組織へのSTAT3 siRNAの送達を実証するものであろう。] [0112] 次の試験では、無胸腺マウス中で継代された皮下(s.c.)異種移植片を切除し、細分化し、2時間トリプシン処理フラスコ中で室温にて0.5%コラゲナーゼにより分断する。生存細胞をFicoll密度勾配にて分離し、DPBSで2回洗浄し、1 3×107細胞/mlの濃度で2.5%メチルセルロースに再懸濁し、500マイクロリットルのHamilton気密シリンジおよび注入器(Hamilton Co., Reno, NV)を用い10 μlの容量中で33ゲージの注入カニューレによりBALBcマウスの前脳に移植されたガイドカニューレの中に注入する。組織学的検査にて、腫瘍は腫瘍接種から3日後に顕微鏡下で一貫して明らかとなり、接種から9日後に肉眼的検死により巨視的に明らかとなる。これらの巨視的な腫瘍のサイズは、容積の外挿により、直径4 cmのヒト神経膠腫に匹敵する。以下のスキーマにしたがってマウスを5匹の群で試験する。] [0113] 群4の各マウスにはSTAT3遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群5の各マウスには陰性対照siRNA (scrambled配列) 100 μgとともにRLIP76プロテオリポソーム50 μgを与える。群6の各マウスにはSTAT3遺伝子を標的化するsiRNA 100 μgとリポソームだけを与える。10日後、マウスを殺処理し、肉眼的検死で腫瘍測定を行い、Ki-67およびアネキシンVに対する抗体を用いて、それぞれ、細胞増殖およびアポトーシスを測定する免疫組織化学分析のために腫瘍組織を得る。] [0114] 経口投与時に脳内に位置する腫瘍組織に核酸積荷分子を送達するRLIPリポソームの能力を判定するために経口投与を用いて上記の試験を繰り返す。] 実施例 [0115] 本明細書において開示および特許請求される組成物および方法は全て、本開示に照らして過度の実験をせずとも実行および遂行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様という観点で記載してきたが、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、その組成物および/または方法に、ならびに本明細書において記載される方法の段階にまたはその段階の順序に変更を加えられることが当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にもともに関連するいくつかの作用物質を本明細書において記載される作用物質に代えて用いても、同様のまたは類似の結果を達成できることが明らかであろう。当業者には明らかなそのような類似の置換および修正は全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨、範囲および概念の範囲内であるものと見なされる。]
权利要求:
請求項1 RLIP76タンパク質と積荷分子(cargo molecule)とを含むプロテオリポソームに細胞を接触させる段階を含む、細胞に積荷分子を送達する方法。 請求項2 細胞が脳細胞、心臓細胞、肝細胞、腎細胞、肺細胞、または眼細胞である、請求項1記載の方法。 請求項3 細胞が脳細胞である、請求項3記載の方法。 請求項4 細胞が腫瘍細胞である、請求項1記載の方法。 請求項5 細胞が脳腫瘍細胞である、請求項4記載の方法。 請求項6 積荷分子が核酸分子またはポリペプチド分子である、請求項1記載の方法。 請求項7 積荷分子が核酸分子である、請求項1記載の方法。 請求項8 積荷分子がRNA分子である、請求項7記載の方法。 請求項9 積荷分子がアンチセンスRNA分子である、請求項8記載の方法。 請求項10 積荷分子が低分子阻害RNA分子である、請求項8記載の方法。 請求項11 RLIP76タンパク質と積荷分子とを含むプロテオリポソームを含んだ組成物であって、前記プロテオリポソームが薬学的に許容される担体中にある、組成物。 請求項12 積荷分子が核酸分子またはポリペプチド分子である、請求項11記載の組成物。 請求項13 積荷分子が核酸分子である、請求項12記載の組成物。 請求項14 積荷分子がアンチセンス核酸分子である、請求項13記載の組成物。 請求項15 積荷分子が低分子阻害リボ核酸分子である、請求項13記載の組成物。 請求項16 薬学的に許容される担体が経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、吸入投与、経粘膜投与または経皮投与用に調製されている、請求項11記載の組成物。 請求項17 薬学的に許容される担体が経口投与用に調製されている、請求項16記載の組成物。 請求項18 薬学的に許容される担体の中にプロテオリポソームを含んだ薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、積荷分子を、それを必要とする対象に送達する方法であって、前記プロテオリポソームがRLIP76タンパク質と積荷分子とを含む、方法。 請求項19 積荷分子が核酸分子またはポリペプチド分子である、請求項18記載の方法。 請求項20 積荷分子が核酸分子である、請求項19記載の方法。 請求項21 積荷分子がアンチセンス核酸分子である、請求項20記載の方法。 請求項22 積荷分子が低分子阻害リボ核酸分子である、請求項21記載の方法。 請求項23 薬学的組成物が経口的に、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、吸入により、経粘膜的にまたは経皮的に送達される、請求項18記載の方法。 請求項24 薬学的組成物が経口的に送達される、請求項23記載の方法。 請求項25 積荷分子が対象の脳、心臓、肝臓、腎臓または肺に送達される、請求項18記載の方法。 請求項26 積荷分子が脳に送達される、請求項25記載の方法。 請求項27 積荷分子がニューロンまたは脳内血管内皮細胞に送達される、請求項26記載の方法。 請求項28 積荷分子がニューロンおよび脳内血管内皮細胞に送達される、請求項27記載の方法。 請求項29 積荷分子が対象内の腫瘍に送達される、請求項18記載の方法。 請求項30 積荷分子が対象の中枢神経系内の腫瘍に送達される、請求項29記載の方法。 請求項31 積荷分子が対象の筋肉に送達される、請求項18記載の方法。
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引用文献:
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